コガレル ~恋する遺伝子~
 結局二度寝をした後、出かける準備をして二人でホテルを後にした。

 助手席の弥生のナビでアパートにたどり着くと、車で待つか、部屋に上がるかの二択があった。
 もちろん迷わずに上がる方を選択した。

 そこは二階建て計六部屋のアパートで、弥生の部屋は二階の角。

 やっぱり防犯対策はまるでなってなかった。
 鍵はチャチなのが一つ、しかも隣に住んでるのは若い独身の男。
 どうやら社会人らしいと言う。
 外から見てすぐに気づいたのは、ベランダに干した洗濯物は簡単に乗り越えて手に取れる。
 洗濯物を盗られるくらいならまだしも、他人が侵入し易いということだ。
 それが例え隣の男じゃなくても、隣に侵入した犯罪者が乗り越えてくることだってあり得る。

 部屋の中は、前に住んでたボロ家と大して変わらない様相だった。
 全体的に狭くコンパクトにさせた感じだ。
 ここが生活の拠点であるのは明らかで、家電も家具も以前と変わらずに揃えられてた。

 弥生が身支度を終えると座らせて、一悶着あった。
 俺は足りない家賃も引越し代金も負担するから、オートロックのマンションに移りなさい、と主張した。
「お願いだから、」とセリフを添えてみても弥生は頑なに首を縦に振らなかった。

 結局鍵を増やすことで俺が折れて、話し合いは収束した。
 鍵を増やすだけなら、あと三つは付けて欲しいくらいだ。

 なんで、そんなに危機管理ができないのか理解に苦しむ。
 自分が他人を惹き付けることを、もう少し自負して欲しい。
 胸に不安が影を落とした。


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