コガレル ~恋する遺伝子~


 ホテルに着いて、部屋のドアを閉めた瞬間、弥生を抱きしめた。
 間違いなく手に入れたのに、この不安はどこから来るんだろう?

 例えばカメラマンとかあの杉崎のような一般の男。
 そういう奴らの方が弥生を幸せにできるんじゃないか、ふとした瞬間に考えてしまう。
 だからって、そっちへ行こうとするなら足掻きまくって引き止めるだろうけど。

 俺でごめん。
 でも誰にも渡さない…

 そんな思いが繋がりを求めてしまう。
 こんな風に弥生をぐずぐずにさせて、俺を身体と心に記憶させる。

 弥生の潤んだ非難がましい視線も、余計に欲に火を付けるだけだ。
 残された時間を全部これに費やしたっていい。
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