コガレル ~恋する遺伝子~


 手を撫でられるのを意識の遠くで感じた。
 モゾモゾと動く気配も。

「圭さん、これ、」

 何時だ?
 寝たばかりじゃないの?
 回らない頭で目を開けると、部屋の中は明るくなってた。

 目の前の人は何故かドヤ顔で指輪を見せてきた。
 ただ、何も身に纏わないで肘をついた姿勢をされても、魅惑的な二つの桃色に目は釘付けになりそうだ。
 眠くなければ襲ってただろう。

 色々質問されるのを、のらりくらり答えてるうちに聞こえた。

「左手のなんて、要らないですよ」

 その聞き捨てならないセリフが俺の頭を完全に覚醒させた。

 左手の指輪の意味は分かってるでしょ?
 まさかの拒否とか…

「どういう意味?」

 俺が芸能人だからか?
 彼女は良いけど、嫁は嫌?
 もしかして夜がしつこいから…か…?

 色々な考えが頭の中を逡巡してるうちに、
「これを左にすれば良いかと…」バツが悪そうに弥生は答えた。
 それって、結婚指輪をわざわざ買い直さなくてもいいって意味か。

 とりあえずの安堵から天を仰いだ。
 見えるのはもちろん寝室の天井だけど。
 天井こんなんだったんだ。
 起きてる間は、俺の下か隣にいる弥生ばっかり見てた。
 
 スイートルームなのに思い返せば使ったのはほぼ、ベッドと風呂のみという…


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