コガレル ~恋する遺伝子~


「…恥ずかしい」

 余韻を惜しんで、ゴミ箱と対面してた俺の背中に、羽根枕が飛んできた。
 振り返るとベッドの隅で、ちんまりと体育座りして俯いてる。

 ハァ…可愛い。
 やっぱり、連れて帰りたい。

「弥生のあんなのとか、こんなのは、東京で思い出さないって誓う」

 もう一個枕が飛んできた。
 枕を投げ返してタイムアウトを告げると、二人してバタバタと帰り支度を始めた。

 チェックアウトをする前に、ホテル内の土産物店で傘を買った。
 熊本城を見下ろす部屋の窓からも、いつの間にかしとしと降り始めた雨が見えたからだ。

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