コガレル ~恋する遺伝子~


 空港に到着して諸々の手続きをこなす俺を、弥生はただ黙って見守ってた。
 雨でも現在は定刻で運航してるようだ。

 搭乗時間までをラウンジで過ごしてた時だった。
 弥生は親父達の過去の交際を、思い返したようだ。
 行き着く先は俺と同じ。

「考えてたんです。
もし専務とお母さん、二人が一緒になってたら、」

 弥生の母親と俺の親父が結婚していたら?
 “もしも” の話だ。

「俺達は生まれてない?」

 結局は互いに選んだ別のパートナーとの血が混じって、俺と弥生はこの世に生を受けた。

「違います。私達は、一つになるはずでした。
だから私は、こんなにも圭さんに焦がれるんだなって」

 俺と弥生が、一人の人間として生まれる予定だったってことか。
 奇妙な考えだ。
 でも面白い。
 引き剥がされた半分同士、互いを求め合ってた訳だ。

 弥生を家の中に運び入れたのも、ここまでの嫉妬深さも、アレが少しばかり激しいのも…全ては遺伝子プログラムのせい、とかね。

 何であれ、弥生に焦がれられる存在でありたい、いつまでも。

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