極上スイートオフィス 御曹司の独占愛


その後、伊崎は仕事の話以外では私にあまり絡んで来なくなった。
呆れられたのかもしれない、と思えばそれも致し方ないと思えた。


伊崎の言葉を思い出して、また私の頭の中は朝比奈さんのことがじわじわと浸食し始める。


……吉住は、どうしたい?


その質問に、はっきりと自信が持てる答えが私にはまだ見つかっていなかった。


三年前のような思いをしたくなくて、朝比奈さんとの再会にはそれなりに覚悟を決めていた。
それは、自分の気持ちに対してで、朝比奈さんに対しては寧ろ無防備だったと言っていい。


彼の方から再び望んで接触してくるなんて、思いもよらなかったのだ。
私がしっかりしていれば、それで大丈夫だと思っていた。


それなのに、まるで引力でもあるかのように、気持ちが引きずられていく。
この気持ちが、一度は封印してしまった三年前の恋のものなのか、今の彼に惹かれているのかわからない。


ラッピングの手を止めて、無意識に首元にあるネックレスを指で辿った。
別れた直後からずっと私の首にぶら下がるその鎖には、捨てきれなかった恋の名残が今もある。


今の彼は、昔とは違う。
今の私も、昔とは違う。


そのことが余計に、判断を鈍らせている。
過去の恋を取り戻したいだけなのか、それとも今現在の彼に惹かれているのか。


「……はあ」


と、溜息を吐いて背筋を伸ばした。
いつまでも手を止めていては、作業が終わらない。


集中しなければ、と軽く首を回していたら突然、「お疲れ様」と真後ろから声をかけられ、驚いて振り向いた。

< 115 / 237 >

この作品をシェア

pagetop