極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「……その通りです。私はともかく、朝比奈さんは」
「替えの効かない人間なんていないよ。僕も君もね。寧ろそんな体制しか取れない会社なら、どう立て直そうと先が知れてる。僕がいようがいまいが会社は回る、そうでなくてはならないし、君もそう」
朝比奈さんが、腕を組む。
そして少し前屈みになり、倉野さんの顔を覗き込む。
「いくらでも、とはいかなくても、替えの人材はいるんだよ」
彼女はどんな顔で、今の言葉を聞いたのだろう。
「特別でもなんでもない。ただ与えられた立場で、どう仕事を全うするか、それだけだ。君はそれを怠った。専務の信頼を裏切ったことをちゃんと理解できてますか? 今となっては過ぎた情報だし些細なことだとしても、君が仕事に私的な感情を持ち込んだ。そういう人間であることを専務はどう判断するだろう」
そこから、彼女に反応がなくて沈黙が続いた。
長く感じる沈黙を挟んで、こちらが居た堪れなくなった時。
ぼそぼそと彼女が呟いた。
さっきまでと違った力のない声だった。
「……私は、ずっと前からあなたが好きで、だからなんとしても、役に立ちたくて」
「ごめんね。僕は三年前からずっと好きな彼女がいるんだ」
「簡単に逃げ出すような人ですよ、私のせいですけど」
「君に壊されたとは思ってないよ。彼女は自分に自信が無さすぎて、僕には繋ぎ止める力が無かった、それだけ。けど、三年で思い知ったよ」
朝比奈さんの目が、私に向けられた。
ぴくん、と心臓が反応して目をそらせなくなる。
「僕にとっては、彼女は替えの効かない人だった。僕も彼女にとって、そうありたいと思ってるよ。今度こそ」