極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
どくん、どくんと、心臓が高鳴るほどに胸が熱くなり、涙が溢れそうになる。
じっと私を見つめる視線は、嘘じゃないと訴えかけているようだった。
かちゃ、と音がする。
ずっと、最初に運ばれてきたきりほったらかしになっていたコーヒーのカップに、彼女が手を付け軽く口だけつけると、ソーサーに戻した。
そのまま無言で、膝に乗せていたバッグを手に持ち、静かに立ち上がる。
「専務にはこのことは」
「何も話してはいないよ」
「そうですか。覚悟はしておきます。大変ご迷惑をおかけしました」
一歩席から離れると、私と伊崎、朝比奈さんとそれぞれに深く頭を下げる。
「申し訳ありませんでした」
「あ……いいえ」
釣られて私も小さく会釈した。
私とは一切目を合わせないままなのが、彼女に残った最後のプライドだったのかと思う。
彼女が去った後、異様な私たちの雰囲気に気づいていた周囲の視線も、それに伴い散っていった。
残ったのは、どっと脱力した私と。
「これでひとつ、すっきりしたかな。後は」
冷めたコーヒーを一口含み、私たちを見る朝比奈さんと、びくっと肩を跳ねさせた伊崎の三人だ。