極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
徐に、朝比奈さんが立ち上がる。
靴音をかつんと響かせ、伊崎と並んで座っている二人掛けのソファに近づいた。
え、え。
え。
と、戸惑う隙もないほど、素早く私の目の前に来た彼は、座る私の腰にいきなり腕を回す。
「えっ、えっ? わっ」
そのまま強引に引き上げられると、私は既に朝比奈さんの片腕に囚われていた。
「……僕の気持ちは、示したつもりだよ。あとは、真帆が選ぶ番だ」
強い視線に見下ろされ、私の視界も声も、彼の支配下にあるように、思うようにならなかった。
私に選べと言いながら、彼の手は私を捕まえたまま緩む気配もない。
放すつもりなど、はなからないのだ。
「僕のところに戻っておいで。真帆」
強い声音や絡まる腕に絆されたわけじゃない。
『僕にとって、替えの効かない人だった』
あの言葉がじわじわと私の胸に侵食し、心を温めてくれる。
その温もりに委ねるように、私は彼の腰に手を回してスーツの布地を掴む。
それが返事だった。