極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
ふたりの息づかいだけが響く部屋。
彼が少し身体を起こして、頭上で拘束していた私の手を解放した。
視線は胸元に注がれたままで、私が後ろ手を付いて少しだけ上半身を起き上がらせてもそれは変わらなかった。
彼の視線の先にあるものが、嫉妬に溺れた彼を少し留まらせたのだと気付く。
恥ずかしくなって、手で隠そうとしたらその手を掴まれた。
言葉もなく、胸元から顔を上げ彼が驚いた顔で私を見る。
それでいて少し泣き出しそうにも見えて、私の瞼にもじんわりと熱く涙の気配が漂った。
「……忘れられなくて」
胸もと、ネックレスの先には
彼からクリスマスにもらった指輪が、三年繋がれチェーンで擦れて傷だらけになりながら存在していた。
自分から別れを告げたくせに、私は彼への気持ちを結局ひとかけらも捨てることが出来なかったのだ。
「く、苦しくて、寂しくて……」
一度零れたら、堰を切ったように言葉が溢れる。
「私だけが、忘れられないことが悔しくてっ……」
あっさり離れていった彼の背中を思うたび、惨めになるのにそれでも忘れられなかった。
視界が揺れてぼやけて、熱い涙が頬を伝って落ちる。
「……それでも、捨てられませんでした」
捨てられなかった気持ちと共に、指輪はずっとこの三年、私の胸に揺れていた。