極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
今日も今日とて、彼女は倉庫にいた。
あれからしつこいくらいにロールプレイングを重ね、近頃接客もするようになった。
いつもなら『甘えるな』と言いたくなるような件だったのだが、倉庫での男前な仕事ぶりを見ていればつい目は生ぬるくなる。
一度、訪問した折りにちょうど彼女が接客中で、まだまだ緊張気味ではあったが意外と滑らかにこなせていたので、ほっとした。
西口さんに育成は任せる、と店長が言ったので、僕が口を出す段階でもないだろうと思ったのも確かだ。
だから、僕は小言は言わずにただ仕事の調子はどうかとそれだけ尋ねるようにしていた。
ただ、変な癖がついた。
接客するようになっても相変わらず倉庫にいる率の高い彼女の背中を、何をしているのやら数秒様子を窺うのが楽しみだった。
今日は何やら積み重ねた段ボールを台にして背中を丸め、せっせと手を動かしている。
「お疲れ様。何をしてるの?」
「あっ! お疲れ様です!」
「いいよ、手を止めないで」
彼女は、ミニサイズの缶キャンデーをラッピングしてリボンをかけていく作業をしていた。
ありがとうございます、と会釈をして、彼女は再び手を動かし始める。
じっと見ていれば、随分と手際よく綺麗に包むので関心してしまった。
「へえ、上手だね」
「あ、ありがとうございます」
その時彼女が、初めてぱっと顔を輝かせて嬉しそうに笑った。
自信の無さを笑って誤魔化すようなものだったり、恥ずかしそうなものだったり、そんな笑い方はよく見たけれど、こんなに嬉しそうでしかもちょっと得意げな顔は初めてだった。
「ラッピング、経験あったの?」
「いえ、特に教わったとかはなくて。でも昔からこういうのは好きです」
自分に自信のある分野だからか、あがり症と言う割にこうしてじっと観察していても手元が狂う様子もない。
ちょっと照れ臭そうにしている横顔が、可愛らしかった。