極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
「いや、そこまでは、朝比奈さんも……」

「あの時、衝撃で頭の中が真っ白になったわよ。何も考えられなくなった。でもそうよね、少しでも優秀な枠に収まるようにと努力しても、その枠の中に同じような人材が溢れてるんだから。替えなんていくらでもいる」


溜息をつき、彼女が片手の中に顔を伏せて埋めた。
今日、彼女が私を呼び止めた理由に少し、気が付く。


模索しているんだ、あの日これまでの価値観を粉砕されて、彼女自身どうしていいのかわからないのかもしれない。


「なのに、朝比奈さんにとってあなたは『替えの効かない人間』なのね」


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