極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
翌日、オフィスでは聞ける雰囲気でもなくせめて仕事が一段落してから、と思っていたら中々聞けなかった。
午後からふたりで外出の予定が出来て、私は駐車場で社用車のキーを取りに行った朝比奈さんを待っていた。
駐車場には会社のロゴの入った白い普通車が数台並んでいる。
車の中でなら、昨日の話をさりげなく出来るかも。
まだ来ない朝比奈さんを探してくるっと視線を巡らせると、社ビルの通用口から小野くんが出て来るのが見え、目が合った。
「吉住!」
「小野くん、これから外出?」
どうやら彼も取引先へ行くのに社用車を使う予定のようだった。
立ち話は自然、昨日のことに話が向いていく。
「昨日ごめんね、途中で抜けちゃって」
「いやいや、全然いいって」
そう言いながら、にやっと彼が意味ありげに笑った。
「え、何?」
「良い雰囲気ならそう言ってくれりゃあ良かったじゃん。ふたりで抜けてその後どうなった?」
「は? 違うよひとりで帰ったよ! 体調悪くなったから……」
「えー、照れなくてもいいって。その後伊崎おっかけてったろ。金だけおいてすぐ帰ったし、あいつも」
なんで!
それは誤解だと言い返そうとした時だった。
「吉住、お待たせ」
同時に、ぴぴっと電子音が聞こえてすぐ傍の車のロックが外れた。
朝比奈さんが、すぐ傍まで来ていた。
話を聞かれた、と咄嗟に思ったけれど、振り向いた先に居た朝比奈さんは平然としていて、変わらない穏やかな笑顔を浮かべていた。
小野くんは慌てた様子で朝比奈さんに会釈をして、私にはにやりと意味深な笑いを浮かべて他の車に乗り込んだ。
私も急いで、朝比奈さんが乗った車の助手席に乗る。
聞こえていなかったのだろうか、と彼の横顔を窺っていたら、彼の方から話が切り出された。
「昨日、体調が悪かったの?」
やっぱり聞かれてたんだ、と、慌てて言葉を探す。
「いえ! あの、確かに途中で抜けたんですけど、さっきの小野くんのは誤解です! 一緒に抜けたとかじゃ……」
信じて欲しい、と焦るほど声は上擦った。
何をどう説明しても、同じタイミングで抜けたなんて聞いたら私なら絶対怪しいと思ってしまう。
だけど、朝比奈さんは全く動じてなくて、運転しながらちらっと私を見て笑った。
「そんな心配はしてないよ。真帆の体調が心配だっただけ」