極上スイートオフィス 御曹司の独占愛
焦っていた頭が、あまりにも朝比奈さんがあっさりとそう言うものだから逆に真っ白になった。
横顔を眺めていると、片手が伸びてきて私の頭を優しく撫でる。
「真帆と伊崎が仲良いのは前から知ってる。気分が悪くなって送ってもらった?」
「違います。タクシーで、ひとりで」
「今日は? 本当は辛いならちゃんと言って」
何も、言い訳する前から無条件で私を信じてくれている。
そればかりか、身体の心配をしてくれている。
「大丈夫です、今日はもう」
嬉しくて、ほっとして、そしてそれ以上に自分が恥ずかしかった。
私は昨日から、朝比奈さんを信じようと自分に言い聞かせてばかりで、結局のところ疑ってしまっている。
彼から、安心できる言葉を引き出そうと、昨夜のことをどう聞こうかとそのことしか頭になかったのだから。
「大丈夫ならいいけど……ずっと忙しい思いをさせてるからね。無理させてないか心配になる」
本当に、朝比奈さんはそれ以上追及する様子もなかった。
「……朝比奈さんの方がずっと忙しくされてるじゃないですか。これくらい、平気です。夕べはちょっと飲みすぎちゃっただけです」
頭を撫でてくれる手の優しさに、昨夜のことを聞くのが申し訳ない気がしてくる。
こんなに信じてくれる人なのだから、私もそうあるべきだと頭でいくらわかっていても、気持ちはそううまくは働かない。
朝比奈さんから、話して欲しい。
こういう事情で倉野さんと会ったよ、って。
「あ、朝比奈さんは、昨日はどうしてましたか。……お仕事、遅くなりました?」
結局、遠回しに聞いてしまった。
だけど、返ってきた言葉は私が待っている答えではなかった。
「いや。昨日は少し早く終われたから、真直ぐ帰ったよ」
少しの動揺もなく、彼はそう言った。