HEROに花束を(完)
「今日は、何しに?」
今度はわたしが短く聞けば、
「その…悠に、会いに。」
と返事が返ってきて、また沈黙が生まれた。
そうか、やっぱり悠は美菜ちゃんが好きだったんだ。
そんな思いがぽつんと浮かんでは消えた。
ビーチで二人が楽しげに話している光景が脳裏に鮮明に見えるような気がした。
やっぱり、わたしは最初から、誰からも愛されない子だったのかもしれない。
わたしなんていなければよかった。
不幸を知るために生まれたのなら、いっそ、何も知らないほうがよかった。
胸の奥を風がすーすーと通り抜けていくような気がした。
涙こそ流れない。
ただ、心臓が強く鷲掴みにされているような、変な感覚に陥った。