桜樺 -ouka-


目をぎゅっと瞑り、痛みを覚悟したが、いつまで経ってもそれはこなかった。






恐る恐る目を開けてみると、そこにはありえない光景が広がっていた。






総司が私をかばって刺されたのだ。





『ぁっ、あ………いや、いや!!!総司!!!!!!なんで?!』






「だめ…でしょ…?注意しな、きゃ」






そのまま、総司は動かなくなった。
総司の腹からは、どんどん血が流れ、その度に総司の顔色は死人のように白くなっていった。






『いや、いやよ!!総司!だめ、だめ、だめ……』






傷口から溢れ出る血をすくうように手を動かした。そんなの、無駄だってわかっているのに。





総司は今から応急処置をしても無駄だろう。誰でもわかる。


< 195 / 230 >

この作品をシェア

pagetop