裏生徒会部+
凪さんは一くん達の国で生まれた。
お母さんは日本人で、お父さんは一くん達の国の人。
お父さんについてはこれ以外のことは何も知らないらしい。
声も顔も名前も。
「凪。あなたはいい子だから、ここで待っててね」
「お母さん、どこ行くの?」
「すぐそこで買い物をしてくるの。だから待ってて」
「うん。わかった」
街の片隅でお母さんにそう言われ、凪さんは言われた通り待った。
街に住んでいる住人や観光客が行きかう姿をずっと見て…
何分、何時間、何日もずっとその場を離れずに待った。
だけど、お母さんが戻ってくることはなかった。
「おか…あ…さん……」
賑わい、飛び交う人々の声も徐々に遠のいていく。
凪さんは気を失い、次に目を開けた時には見知らぬ場所にいた。
「……ここは…どこ…」
身体を起こし、部屋を見渡すと椅子に座っている男の人と目が合う。
すると、その男の人はすぐに駆け寄ってきて手を握った。
「“目を覚ましてくれて良かった。どこか痛いところとかはないかい?"」
自分に向けて日本語ではない言葉を話されることはほとんどなかったために、戸惑いつつも頷く。
その反応を見て、男の人は安心したように微笑んだ。