腹黒王太子の華麗なる策略
『いいだろう。但し、私の力を使えば、黒いあざができ、お前の命は縮まる。あざが全身に広がった時、お前は死んで私がお前の身体を乗っ取る。いいな?』

ゆっくりと口を開くと、ルシファーは俺に鋭い視線を投げる。

それは確認というよりは、決定事項。

〝否〟と言えば、この場で殺されるに違いない。

『ああ』

ルシファーの目をまっすぐ見て返事をしたその刹那、右手人差し指に激痛が走った。

『つぅ!』

見れば、人差し指の爪が真っ黒になっていて……。

俺がその理由を問う前に、ルシファーは俺に近づき耳元で声を潜めた。

『それは、俺との契約のしるしだ。忘れるな』

ゾクッと背筋が寒くなったと思ったら、ルシファーの姿はこの場から消えていた。

『本当に魔力が使えるようになったのか?』

じっと黒くなった爪を見ながら呟く。

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