腹黒王太子の華麗なる策略
国王が亡くなったとなれば、国は混乱し、反乱が起きることが予想されるからだ。

フィオナも父の生死を確認出来ぬまま城を出たから、国王が死んだとは知らない。

時が来たら国王は亡くなったと公表するつもりだが、まだその時ではない。

「あのババア、勝手な真似を……。あの時、とどめを刺しておけばよかったな」

書状をギュッと握り潰し、うっすらと笑みを浮かべる。

フィオナはインヴァネスをあともう少しで手に入れられたのに、俺に邪魔をされ恨んでいるのだろう。

小さい頃からフィオナのことを警戒していた俺は、病弱な振りをして日中あまり部屋から出ることはなかった。

だから、俺のことは油断していたんだと思う。

あの魔女はディオンを幽閉したが、俺には何もしなかった。

ひ弱な王太子はいつでも殺せると、高を括っていたに違いない。
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