腹黒王太子の華麗なる策略
「あの女の魔力を封じたのに、隣国と手を結んで俺に仕返ししてくるとは……」

また、悪魔と契約して力を得たか?

だとしたら、ただのババアになったあの女は、一体何を対価にしたのか……。

自問自答する俺に、ラルフが判断を仰ぐ。

「どうしますか?」

「突っぱねて追い返すと言いたいところだが、無理だろうな」

ゆっくりと目を閉じ、俺はエッジウェアの城を透視した。

騎馬隊の兵が五〜六千人集まっている。

恐らくこれからインヴァネスに向かうのだろう。

目を開けると、溜息交じりの声で言った。

「結婚式となれば、連日連夜この王都はお祝いムードで警備が手薄になる。その隙をついてエッジウェアは王都に攻め込む算段だろう。だからといって、この婚姻を反故にしたら、それを理由に戦争になる。どっちに転んでも戦いは避けられない。ならば、騙された振りをして、敵を仕留める方がいい」

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