腹黒王太子の華麗なる策略
クリスもまっすぐ前を見据えていた。

それはさっき雷が落ちた場所。

木々が倒れ、その周辺は木が燃えたのか黒焦げ。

バンという大きな破裂音と共に赤黒い光が私達目掛けて飛んでくる。

「キャア!」と思わず叫んで目を閉じるも、何も変化はない。

恐る恐る目を開ければ、クリスが右手で大きな光の盾を作って赤黒い光を防いでいる。

クリスの視線の先には、フィオナと赤髪の青年がいた。

フィオナの顔はさっきの雷の衝撃でか、半分火傷を負って赤く腫れ上がっていた。

赤髪の青年も額から血を流している。

「久しぶりじゃないか、フィオナ。それと、お目にかかるのは初めてだな、シャメル国王」
クリスは余裕の笑みを浮かべ挨拶する。

ああ、……赤髪の青年はシャメル国王だったんだ。

そう言えば、エッジウェアの王女も赤髪だった。
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