腹黒王太子の華麗なる策略
「怖がらなくても大丈夫だ」

クリスはそう言って、私のお腹に右手を回して支える。

彼の手の温もりにドキッとしてうっかり下を向いたら、城の方からたくさんの炎が森の方へ流れて行くのが見えた。

「あれは……」

私がじっと炎を見ているのに気づいたクリスは、すぐに炎の正体を告げた。

「あれはディオンが率いている騎馬隊だ」

……そう言えば、宴の時にディオンの姿を見なかった気がする。

じっとディオンの騎兵隊の様子を見ていると、私が目撃した他国の騎兵隊と交戦を始めた。

「……ディオン達が戦ってるのって……エッジウェアの兵なの?」

クリスを振り返って聞くと、彼は迷いのない声で頷いた。

「ああ」

……この顔。

「エッジウェアが攻めてくるって知ってたわね?」
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