腹黒王太子の華麗なる策略
変な夢を見ているかのようだ。

耳鳴りがして少し気分が悪い。

そんな私を見て、クリスはモコに声をかける。

「モコ、城へ戻ってくれ」

てっきりクリスはディオンに加勢すると思っていた。

「ディオン達はいいの？」

「大丈夫だ。あれは強いからな」

クリスは私を安心させるように笑う。

ディオンを信用しているんだなって思った。

モコが城に向かうと、城の周囲はインヴァネスの兵士に取り囲まれていて物々しい雰囲気に包まれていた。

モコはクリスの部屋の窓の外で私とクリスを降ろすと元の子猫に戻る。

窓から私達はクリスの部屋に入るが、完全にクリスとふたりきりになり、いたたまれなくなった。

どうして城を出たとかきっとクリスに聞かれるに違いない。

なんとかこの場から逃げ出せないだろうか？
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