ミンジュンが私を溺愛すぎる件
ずっと黙っていた父さんが初めて口を開いた。
「その人は、詠美に良くしてくれてるのか?」
詠美はブンブンと首を振って頷いた。
「すごく良くしてくれてる。
すごくいい人で、この老舗の煎餅屋に来るのも、お父さんや美沙おばちゃんに会うのも、すごく楽しみにしてるの…」
詠美は何故だか泣けてきた。
この小さいけどとても温かい私の育った家庭を、ミンジュンさんにも味わってもらいたい。
「よし、分かった。
詠美がそう言うんだったら、この店も浅草も堪能してもらわなきゃだな。
美沙、お前はその日はどうする?
ちゃんと対応できるんだったら、店に来い」
詠美が泣いたせいで、美沙おばちゃんも号泣している。
「詠美が本当にミンジュンとつき合ってるんだったら…
私はちゃんとミンジュンにお願いしたい。
こんな美人でもない詠美を選んでくれて、本当にありがとうって…
それと、元韓流スターだからって、うちの詠美をもて遊んだりしたら許さないよって釘を刺さなきゃ」
「もう、その美人じゃんないっていうのは言わなくていいから!」
皆が笑った。
どこまで納得しているのかは定かじゃないけど、でも、皆を信じる事にした。