ミンジュンが私を溺愛すぎる件




ずっと黙っていた父さんが初めて口を開いた。


「その人は、詠美に良くしてくれてるのか?」


詠美はブンブンと首を振って頷いた。


「すごく良くしてくれてる。

すごくいい人で、この老舗の煎餅屋に来るのも、お父さんや美沙おばちゃんに会うのも、すごく楽しみにしてるの…」


詠美は何故だか泣けてきた。
この小さいけどとても温かい私の育った家庭を、ミンジュンさんにも味わってもらいたい。


「よし、分かった。
詠美がそう言うんだったら、この店も浅草も堪能してもらわなきゃだな。

美沙、お前はその日はどうする?
ちゃんと対応できるんだったら、店に来い」


詠美が泣いたせいで、美沙おばちゃんも号泣している。


「詠美が本当にミンジュンとつき合ってるんだったら…
私はちゃんとミンジュンにお願いしたい。

こんな美人でもない詠美を選んでくれて、本当にありがとうって…
それと、元韓流スターだからって、うちの詠美をもて遊んだりしたら許さないよって釘を刺さなきゃ」


「もう、その美人じゃんないっていうのは言わなくていいから!」


皆が笑った。
どこまで納得しているのかは定かじゃないけど、でも、皆を信じる事にした。



< 145 / 212 >

この作品をシェア

pagetop