ミンジュンが私を溺愛すぎる件




「あの、ちょっといいすっか…?」


ずっと黙って様子を窺っていた鎌田君が急に声を出した。
詠美は嫌な予感がした。
だって、鎌田君って若い分、冷静で色々な矛盾を突いてきそうな気がするから。


「あの…
いや、絶対に、誰にも言わないのは約束しますけど…」


「けど?」


詠美が睨んでそう聞くと、


「サインとかもらえます?
実は、俺の母ちゃんも昔ミンジュンが大好きだったもんで。
それってありですか?」


詠美はまた大粒の涙をこぼし、鎌田君の手を取った。


「当たり前だよ。
ミンジュンさん、優しいから、お母さんにサイン書いてくれるよ。

鎌田君、お母さんの名前を後で教えて。
とびっきりのいいやつを書いてもらうから」


普段はあまり笑わない鎌田君も、クスッと笑ってくれた。

詠美は皆の同意を得る事ができホッとすると、急激にミンジュンに会いたくなった。
…早く、ミンジュンさんの待つホテルへ帰りたい。

詠美は水曜日の綿密なスケジュールを皆に伝えると、急いでホテルへ帰った。

早くミンジュンさんに伝えたい…
私の家族は、皆、ミンジュンさんに会うのを心待ちにしてるよと…



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