ミンジュンが私を溺愛すぎる件



詠美とミンジュンは、タクシーで浅草寺の正面玄関の雷門へ向かった。
詠美はその間に、今日のスケジュールをミンジュンに伝える。


「昨日も聞いたから分かってるって。
朝の内にお寺やお寺の周りの観光を済ませて、午前中に詠美のお店に行くんだろ?」


詠美は緊張した面持ちで頷いた。

浅草寺に着いた二人は、まずはミンジュンの好きなように動いた。
詠美の言う通り朝が早いせいで、ほとんど観光客はいない。
ミンジュンはサンサンと降り注ぐ朝日を上手く使って、色々な場所で何枚も写真を撮った。

雷門から本堂へ続く道にある仲見世はまだ営業していなかったため、詠美の家から帰る時にちょっとだけ寄る事にした。
浅草の代名詞と言っても過言じゃないくらいに仲見世の賑わいは有名で活気がある。
そんな雰囲気をミンジュンにも味わってもらいたかった。


「詠美はこの近くで育ったの?」


浅草寺から出て小さな通りを歩きながら、ミンジュンがそう聞いてきた。


「そう、でも、うちは反対側の通りだけどね」


詠美は浅草寺から少し奥まった場所にある甘味処の店にミンジュンを連れて行った。
そこは小さくて古びているが50年以上続く老舗の甘味処屋だ。
早朝は80歳になるおばあさんが気の向くままに営業している。
詠美は今日も開いてますようにと祈りながら、そのお店の前に着いた。



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