ミンジュンが私を溺愛すぎる件
「良かった~~ 開いてて」
詠美が暖簾をくぐると、いつもの優しいおばあちゃんが迎え入れてくれる。
「おや、詠美ちゃん、久しぶりだね。
今日はどうしたんだい?」
店にお客は誰もいない。詠美はホッと胸を撫でおろした。
「今日は大切なお友達を浅草観光に連れて来たんだけど、良かったあ、おばあちゃんのお店が開いてて」
詠美は甘えたように笑ってそう言った。
「おばあちゃん、いつもの二つ下さい」
そう言った詠美に、ミンジュンがいつものって?と小声で聞いてきた。
朝ごはんと詠美も小さな声で答えた。
今日は朝が早かったため、二人とも朝食を取っていない。
このお店も詠美の計画の中には入ってはいたが、開いていればの話だった。
詠美はホッとしたせいで、急にお腹の虫が鳴り出した。
そうこうしていると、おばあちゃんが小さな丸いお盆に載せた朝食セットを持ってきてくれた。
ミンジュンはそれを見て嬉しそうに手を合わせる。
「おばあちゃん、今日のおにぎりの中身は?」
「今日は紅鮭と、詠美ちゃんの大好きなおばあちゃん特製の肉みそだよ」
詠美はおばあちゃんの元へ行き、手伝いながらありがとうと言った。
ミンジュンはその家庭で出てくるような素朴な朝食に感動していた。
パリパリの海苔で巻かれたおにぎり二個に、具沢山のお味噌汁、そして白菜の浅漬けだ。
詠美とミンジュンは顔を見合わせ一緒にいただきますと言った。