ミンジュンが私を溺愛すぎる件
「すごく美味しいです」
ミンジュンはこちらを見ているおばあちゃんに向かってそう言った。
おばあちゃんは嬉しそうに何度も頷く。
「その肉みそはね、詠美ちゃんが小さい頃、甘い肉みそがいいってきかなくて、それでその味付けにしたら、皆が美味しいって言ってくれてね。
それからこの店の名物料理になったんだ」
ミンジュンはニコニコしながら話すおばあちゃんに相槌を打ちながら、横目で詠美を見ると恥ずかしそうに俯いている。
ミンジュンは嬉しかった。
詠美の過去は話を聞くとただ可哀想で不幸だと思うけれど、こうやって小さな子供の詠美を温かく愛して見守ってくれた大人達がいた事実を知れて、ミンジュンはおにぎりを飲み込むのが難しいくらいに胸の奥が熱くなった。
そして、二人はおばあちゃんのお店を後にすると、いよいよ詠美の実家に向かって歩き出す。