ミンジュンが私を溺愛すぎる件
ミンジュンがそう聞き返すと、詠美はレースのカーテンが垂れているアンティーク調の部屋に入っていく。
その部屋は、ダイニングに一番近いゲストルームだった。
「私、この部屋を予約します。
ミンジュンさんが良ければですが…」
ミンジュンは詠美という女の子に主導権を握られているようなそんな気がしていた。
韓国でも日本でも、ミンジュンに近づく人間は男も女も金の事しか考えていない。
俳優業で儲けた後に自分で興した事業が大当たりをし、それからも手を伸ばす事業全てが成功した。
ミンジュンという名前が大きな信用となり、湯水のように湧いて来るお金に皆がひれ伏した。
表舞台からは完全に姿を消したけれど、韓国では観光業、コスメ業、不動産業界において、実業家としてのミンジュンを知らない者はいない。
そんな俺が、何だかペースを狂わされている。
「分かった…
詠美がこの部屋を使うなら、俺は隣のゲストルームに寝るしかないな」
ミンジュンは豪華なマスターベッドルームより、詠美の隣のゲストルームを選ぶ自分が可笑しかった。
でも、ミンジュンのそんな言葉も今の詠美には届いていない。
ゲストルームに飾られているアンティーク家具に魅了されてるから。