ミンジュンが私を溺愛すぎる件
詠美はベンツの後部座席にゆったりと座りながら、これから先の自分の未来が全く想像できずに小さくため息をついた。
「えみさん?」
詠美は突然運転手のスタッフに話しかけられ、驚いて背筋を伸ばした。
「あ、はい…」
詠美はそう言った後、韓国語で「韓国語で話しましょうか?」と問いかけた。
ベンツを運転している人間は、ミンジュンの付き人のような仕事をしていて完全な韓国人だ。
「あ、いえ、だいじょうぶで、す。
ぼくは、にほんごをはなさなければ、ならないのです。
みんじゅんにいさんに、おこられます」
詠美は体を前のめりにして、この若いイケメンお兄さんの話を聞いた。
「ミンジュンさんは、すごい日本語が上手ですよね?
自分で勉強されたのかな?」
詠美は分かり易い日本語を選びながらそう質問した。
「みんじゅんにいさんは、どりょくします。
かんぺきが、すきです。
かんこくごも、にほんごも、いんぐりっしゅも、じょうずにはなします」
詠美はそうだろうと納得した。
そうじゃないと人気絶頂期に表舞台から姿を消したりしない。
自分の中で完璧なプランがあったからこそ、あれだけの地位と名声とファンを捨てる事ができたのだろう。