ミンジュンが私を溺愛すぎる件
「お名前を教えて下さい」
詠美がゆっくりとそう聞くと、ちょうど赤信号で止まったタイミングで詠美の方を見てくれた。
「テヒョンです、カン・テヒョン」
詠美はその運転手の美しい顔に見惚れてしまった。
「も、もしかして、俳優さんか何か?」
テヒョンはすぐに前を向き、運転し始めた。
「えんぎのべんきょうをしてます」
そうなんだ…
カン・テヒョン、覚えておかなくちゃ。
だって、大物スターになるかもしれないから。
「えみさん、ぼくのおねがいをきいてほしいです。
ぼくは、にほんごをじょうずになりたい。
なぜなら、みんじゅんにいさんの、えいがのおーでぃしょんを、うけたいから。
でも、にほんごはなせないと、うけれないです…」
詠美はすごく嬉しくなった。
ミンジュンの通訳として雇われたはずなのに、自分の仕事がいまいち分からずに悶々としていた。
でも、今、テヒョンから詠美が必要だと言われた事が、本当に心から嬉しいし有り難かった。
「テヒョンさん、私がテヒョンさんの日本語の先生になります。
この三か月で、完璧に話せるように、頑張りましょうね」