先輩から逃げる方法を探しています。


ゲーセンの入り口に着くと、中から人の声や色んな音が混ざって聞こえてくる。

少し眩しさを感じるくらい電飾も凄い。

いざ入ろうとすると、背後から声が聞こえた。


「もしかしてはる?」

「ん?え。レンレン?」

「レンレン…?」


振り向くと先輩よりも少し背の高い男の人が立っていた。

見た目から不良だということがわかるレベル。

先輩に「レンレン」と呼ばれた男の人はにっこりと笑顔を見せ、先輩の肩に腕を回す。


「まじかー!久しぶりじゃねぇか!」

「久しぶりだねぇ、レンレン」

「はるがこっちいるの珍しくね?」

「ちょっとお出掛けに」

「お出掛け?」


先輩から私へと目線を移す。

するとしかめっ面になり、また先輩へと視線を戻した。


「なんだよ、お出掛けって彼女とデートかよ」


彼女…デート……。

私と先輩ってそんな風に見えるの…かな。

ってそうじゃなくて、訂正しないと。

たが、私が口を開くよりも先に先輩の口が開いた。


「そうそう。羨ましいでしょ」

「べ、別にー?羨ましくねぇしー?」

「ちょっと先輩。平気で嘘をつかないでください」

「おい嘘なのかよ。まぁ、今までのはるの彼女のタイプとは違うしな」


……あれ。また、だ。

さっきまでなんともなかったのに。

急にまたあの時みたいにもやもやした気持ちだ。

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