日だまりの雨
「雨音は難しい」



「…………」




ひたすら黙り込んだわたしに構わず、陽光くんは言葉を並べていく。




「今こうして雨音に手を差し伸べるってことは……ずっと雨音のお日様で居る覚悟が要るよ」




「覚悟……?」




問い返したわたしをチラリと横目で見、



「その場しのぎの優しさは、かえって雨音を傷付けるだけ」




きっぱりと言い放った。




陽光くんの言葉に胸が傷んだ。
わたしは、その場しのぎの優しさでずっと雨音を傷付けてきた……。




「アイツね、小っさい時に一人だけ田舎に預けられた時期があったんだ」




切り出した陽光くんの言葉に、雨音が悪夢に魘されていたときのことを思い出した。




「それまでの雨音はホント……俺の半身みたいで、同じモノ欲しがって、同じことで喜んでた。……とにかく、何でも同じだった」




それを懐かしむように、陽光くんの顔が小さな笑みを浮かべた。




きっと、その頃の二人は顔だけじゃなく、色んな部分が似ていたんだろな。




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