日だまりの雨
「でも……」



一瞬にして陽光くんの顔は元のように強張る。




「半年ぶりに田舎から戻った雨音は変わってた。……俺と一緒を避けるようになって……」




陽光くんの知らない半年間。


きっと、蔵に閉じこめられたって話していた頃のことだ。




強張った陽光くんの表情を、わたしは斜め後ろからただ見つめていた。




「それからの雨音は、同じモノは欲しがらなくなった。俺が喜ぶと、諦めたように笑う。必要以上に、俺と近付かないようになった……」





自嘲気味に笑う陽光くんはどこか辛そうで、見ているわたしまで胸が締め付けられた。




「雨音だけが預けられた。それが雨音の中で根深く残っている。自分は俺より必要とされていない……そんな風に感じてる」




「そんな……」




雨音がそんな風に感じてるなんて……全然知らなかった。




でも雨音は、陽光くんと自分が間違われないように眼鏡を掛けていた。





それは雨音なりの、自己主張だったのかもしれない。




自分は陽光くんと違う。
槙原 雨音という一人の人間であることを。
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