契約書は婚姻届
納車されて次の水曜日、朋香は結婚して初、ふた月ぶりぐらいにひとりで外出した。

長い戦いだったと思う。

尚一郎のうっかり……うっかりでいいんだろうか?
もしかして本気であのまま、軟禁しておくつもりだったとか……という可能性は考えないでおこう。

車の購入が決まってからもさらにひと月我慢した。

これで晴れて自由!

つい気が緩んでウィンカーをあげるつもりでワイパーを動かしてしまい、ひとり苦笑い。

買ってくれた車は右ハンドルにはなっているが、ウィンカーとワイパーは国際基準のため、国産車とは逆だ。

「待った?」

「いや。
俺もさっき来たとこ」

待ち合わせのカフェに行くと、男――雪也は見ていた携帯を置いてにっこりと笑った。

「あれ?
俺がプレゼントしたのは?」
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