契約書は婚姻届
「車はどうよ?」

「あー、ワイパーとウィンカー、間違えた」

「最初はみんな、やるんだよなー」

メッセージのやりとりをしていたときからそうだが、気の置けないやりとりは楽だ。

「今度、同窓会じゃないけど、元サークルメンバーで集まるんだ。
朋香もどうだ?」

「あー……。
それってやっぱり、休日とかだよね」

休日や夜、とにかく尚一郎が家にいるときにひとりで外出なんて許してもらえるか自信がない。

「そっか。
押部社長がああじゃ、厳しいかもな」

「……うん」

「社長夫人も意外と窮屈だよな!」

ぽんぽん、雪也の手が朋香のあたまにふれる。
それはまるで、付き合っていた当時に戻ったみたいだった。
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