契約書は婚姻届
「ごめんなさい、ごめんなさい、もうしません、許してください……」

みっともなく、悪いことがバレて許しを乞う子供のようにわんわん泣いた。
尚一郎はさっきからずっと黙っている。

……もしかして、もしかしなくても離婚かな。

尚一郎が大事だと気付いた途端に別れるのはつらい。
でも、悪いのは自分だ。

「泣かないで、Mein Schatz」

振り返った尚一郎が、そっと両手で朋香の顔を挟んだ。
ちゅっ、ちゅっ、尚一郎の唇が、朋香の涙を拭っていく。

「反省、したんだろう?
なら、もう同じ過ちを繰り返さなきゃいい」

「……はい」

ちゅっ、額に口付けを落とすと、酷く落ち込んだままの朋香に尚一郎が困ったように笑っていた。

「じゃあ、約束をしようか」

「約束、ですか?」
< 152 / 541 >

この作品をシェア

pagetop