契約書は婚姻届
次の水曜日、雪也に会いに行った。
もちろん、尚一郎には話してある。

「やり直すとかあり得ない」

今日の場所は朋香が指定した。

尚一郎がよく利用している料亭。

こんなところで男と二人で会ってること自体あり得ないが、さらにはこのあいだのようなことは絶対できない。

「だろうと思ったよ」

「は?」

投げやりな雪也の返事に、間抜けにも驚いてしまう。

「俺だって、本気でやり直したいとか思ってないし」

「はぁーっ!?」

さすがに、軽く怒りを覚えた。
おかげでこっちは離婚の危機だったっていうのに。

「頼まれたの、押部会長に。
朋香を誘惑して押部社長と別れさせろ、って」
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