契約書は婚姻届
「なんだ、おまえ!?」

雪也にかまわずに男は朋香の傍に膝を突くと、そっとハンカチで切れた眉尻を押さえてくれた。

「大丈夫ですか」

「無視するな!」

飛んできた皿に、男が朋香をかばうように背を向ける。
その背に皿が当たって落ちると、男は雪也をぎろりと睨んだ。

「これ以上なにかされるつもりでしたら、警察を呼びますが」

「な、な……」

男の威圧感に耐えられなくなったのか、雪也は急に大人しくなって手近にあった空いたグラスに酒を注ぐと黙って飲み出した。

「失礼します」

「えっ、あっ、ちょっ!」

なにが起こってるのかわからなくてぼーっと見ていた朋香だが、突然、男に抱き抱えられて慌ててしまう。

「歩けますから!」
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