契約書は婚姻届
「私(わたくし)が尚一郎様に叱られてしまいますので」

そんなことを云われると、大人しくするしかない。
店を出るとすぐに、黒塗りのレクサスに乗せられた。

「病院に向かいます」

「えっ、あの、大したことないですし!
それに、雪也……」

「支払いはすでにすませてあります。
後はあの男が勝手にするでしょう」

車はいつの間にか、静かに走り出していた。

……なにも考えずに来ちゃったけどいいのかな。

この男が誰なのか、ちゃんと聞いていない。
尚一郎に叱られる、などと云っていたから、尚一郎の知り合いで間違いはないと思うが。

 
わざわざ来た病院だったが、傷はちょっと消毒して、絆創膏を貼るくらいで終わった。

このまま送るとまた車に乗せられる。

「あのー」
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