契約書は婚姻届
怒って、そっぽを向いてしまった朋香に、尚一郎は困った顔をして運転を続けている。

高速を降りて少し走ると、車は牧場の駐車場に停まった。

「降りて、朋香」

「いや。
降りません」

頑なに降りることを拒否する朋香に尚一郎は、はぁーっと大きなため息をつくと、まるで荷物かなにかのように、朋香を肩の上に担ぎ上げた。

「やだ、下ろして!」

「いいから。
黙ってるんだよ」

牛舎の近くで、やっと尚一郎は下ろしてくれた。
しっと人差し指で唇を押さえられ、ふてくされて一緒にそっと、中を覗く。

「掃除、終わりました!
次はなにをしたらいいですか」

「じゃあ、干し草の準備をしてくれ」
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