契約書は婚姻届
見えない尻尾はうるさいくらいに振られてる。

尚一郎にしてみれば、雪也を助ける義理も、なんのメリットもない。
むしろ、朋香を誘惑した悪人。
なのに、朋香のためだと助けてくれた。

尚一郎のそういうところは好きだと思う。

 
帰りの車の中でも、尚一郎はずっとご機嫌だった。

夜、ベッドに入った朋香の枕元に、いつものように尚一郎が座る。

「今日はぐっすり眠れそうかい?」

「はい」

ゆっくりと尚一郎の手が髪を撫で、朋香は目を閉じる。

「Gute Nacht,Traum was Schones.(おやすみ、よい夢を)」

尚一郎が出ていき、ぱたんとドアが閉まった途端……朋香はぱちっと目を開けた。
耳を澄ませて、外の音をよく聞く。
隣の部屋のドアが開いてしまった音を確認すると、枕を抱いて部屋を出た。
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