契約書は婚姻届
隣の、尚一郎の部屋の前に立つと一回、深呼吸。
コンコンコンとノックすると、すぐに中からはい、と返事があった。

「野々村?
どうしたの、こんな夜遅く……朋香?」

ドアを開けるとさっき眠ったはずの朋香が立っていて、尚一郎はなんで? とでもいうように大きくぱちくりと瞬きをした。

「その、……入れてもらっていいですか」

「いいけど……」

初めて入る尚一郎の部屋は、基調とする色が違うだけで、まるで朋香と同じ部屋に見えた。

朋香の部屋は落ち着いたワインレッドを基調だが、尚一郎の部屋はナイトブルーが基調になっている。
というか、色違いの全く同じ調度に一瞬めまいがしたが、気付かないことにした。

「どうしたんだい?
眠れなかったのかい?」

「あの、……一緒に寝てもいいですか」

「ん?
怖い夢でも見たのかい?」
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