契約書は婚姻届
屋敷の方に戻って歩きながらちらり。

朋香の視線の先には監視カメラ。

それは、不審者とともに朋香を監視している。

野々村から朋香が出かけると連絡が入ったときと、この監視カメラで朋香の車が出て行くのが確認できたとき、シークレットサービスが出動するようになっているらしい。

通常は朋香にわからないようにこっそりと。
このあいだのような緊急事態のときだけ、姿を現すのだというが。



「そんなに私を監視しておきたいですか!?」

監視されていることを知ってキレた朋香に全くかまう様子もなく、ちゅっ、唇にキスを落としてくる尚一郎を必死で引き剥がす。

「知られて困ることをしていたのは朋香だろう?」

「うっ」
 
その通りだから云い返せない。
尚一郎に隠れてこそこそと、男と会っていたのは自分だ。
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