契約書は婚姻届
元は公家の出だとか、しかも大昔は大臣を務めたこともあり、天皇家とは外戚関係だったこともあるとか。
そんな黴の生えたような古い自慢話を延々と読んでいると、眠くなってくる。

きっと、あの祖父母はいまだにこういうことにこだわっているのだろう。
だから、尚一郎は酷く疎まれている。

……もう二十一世紀だってゆーの。

やはり、あの祖父母は好きになれそうにない。


「ただいま、Mein Schatz」

「……おかえりなさい」

結局、本を読みながら寝てしまっていた。
出迎えもできず、帰ってきた尚一郎に起こされるなどと恥ずかしすぎる。

「こんなものを読んでたのかい?
物好きだね」

「……一応」

ぱらぱらと尚一郎の手がページをめくる。
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