契約書は婚姻届
いままでバーキンだとかヴィトンだとかねだっていたであろう女たちと一緒にされているようで。

……とりあえずそれは置いておいて。

朋香のいう我が儘はコンビニスイーツが食べたいとか、カラオケに行きたいとか。

そういう、いままでやってきたささやかな楽しみを我慢するからストレスが溜まって雪也のような男と遊び歩いたりするのだ。

「しょ、尚一郎、さん」

そっと袖を引き、上目がちになるべく瞳を潤わせ、おそるおそるといった感じで見上げる。

こうやるとだいたい、尚一郎がお願いを聞いてくれることは学習済みだ。

「……なんだい?」

すぅーっと尚一郎の視線が逸れて目を伏せる。

かかった!

心の中でガッツポーズ。
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