契約書は婚姻届
足首をベルトでホールドするタイプの靴。
ヒールの高さもさほどなく、普段使いによさそう。

「履いて見るかい?」

「はい」

サイズが確認されて、白手袋の店員が履かせてくれる。
履いてみるとしっくり足に馴染んだ。
それに、今日の服に合っている気がする。

「気に入ったのかい?」

「はい」

「じゃあ、これも追加しよう」

……きっと、いつも私が買う靴より少し高いくらいのはず。
 
うきうきとそのまま履いて店を出た朋香だったが。
あとで自分の初任給とあまり変わらない値段だと知って衣装室の肥やしにしそうになった。
けれど尚一郎から、似合っていたからもっと履いて見せてとせがまれて、比較的気軽に履くようになる。


焼き肉屋の前にアウディの横付けは目立つので、少し離れたところで降ろしてもらう。
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