契約書は婚姻届
尚一郎は怒っているが、さすがにそれは。

「えっと。
いくら新入社員でも、社長は誘いにくいんじゃ……?」

「もしかして朋香、僕がはじめから、社長だったとでも思っているのかい?」

「え?
違うんですか?」

ぱちくりとまばたきをした尚一郎に、朋香もぱちくりとまばたきをしてしまう。

どう見ても生まれたときから社長のような尚一郎にそれ以外が想像できない。

……いや、よく思い出すと以前、ひとりで営業に回っていたとか云っていたような。
 
「ちゃんと試験に通って入社したし、一般社員スタートだったよ。
確かに、昇進は人より早かったけど、オシベメディテックの社長になったのは二年前」

「え……」

待て待て待て、この人、普通に昇進してきたの?
もしかして、正真正銘のエリート?
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