契約書は婚姻届
リビングでやっとくつろいでいたら、珍しく尚一郎が甘えてきた。
いつもなら拒否するところだが。

「……今日だけですよ」

熱くなった顔でソファーに座ると、にっこりと笑った尚一郎が膝にあたまを載せてきた。
達之助との遣り取りで疲れているはずだから、今日くらいは甘やかせてあげてもいいと思う。

にこにこと嬉しそうに笑っている尚一郎の髪にそっとふれると、思いの外、柔らかかった。
まるで、ロッテを撫でてるようだ。
なんだか気持ちよくて撫で続けていたら、尚一郎が目を閉じた。

「Tomoka abusolut,werde ich schutzen……」

「尚一郎さん……?」

気がつくと、尚一郎はすーすーと気持ちよさそうに寝息を立て眠っている。

初めて見る、尚一郎の寝顔。

一緒に寝るようになってからも、朋香の方が早く眠りに落ち、目が覚めたときはすでに尚一郎は起きていたから、寝顔など見たことない。
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