契約書は婚姻届
真っ赤な唇を吊り上げ、勝ち誇ったように笑う女性に、朋香は勢いよくソファーから立ち上がっていた。
婚約者だという女性とリビングで膠着状態のまま、尚一郎の帰りを待つ。
そりゃ、大企業グループオシベの御曹司なのだから、婚約者のひとりやふたりいてもおかしくないだろう。
けれど、尚一郎は自分と結婚したのだ。
なのに、婚約者だとかいって押し掛けてこられて、気分がいいわけもない。
そのうち、ロッテがワンワンと楽しそうに吠えだして、尚一郎の帰りを知らせた。
詰め寄るように玄関に急いだ朋香だったが、女性の方が一足早かった。
「会いたかったわ、尚一郎!」
女性から首に抱きつかれ、濃厚な口付けを受けている尚一郎を、朋香がジト目で睨んだことに罪はないはずだ。
「ゆ、侑岐(ゆき)!?
いつ、日本に?
じゃなくて離れてくれないかい!」
女性を慌てて引き剥がしていた尚一郎だが、朋香の視線に気付いたのか、びくんと背中を震わせた。
婚約者だという女性とリビングで膠着状態のまま、尚一郎の帰りを待つ。
そりゃ、大企業グループオシベの御曹司なのだから、婚約者のひとりやふたりいてもおかしくないだろう。
けれど、尚一郎は自分と結婚したのだ。
なのに、婚約者だとかいって押し掛けてこられて、気分がいいわけもない。
そのうち、ロッテがワンワンと楽しそうに吠えだして、尚一郎の帰りを知らせた。
詰め寄るように玄関に急いだ朋香だったが、女性の方が一足早かった。
「会いたかったわ、尚一郎!」
女性から首に抱きつかれ、濃厚な口付けを受けている尚一郎を、朋香がジト目で睨んだことに罪はないはずだ。
「ゆ、侑岐(ゆき)!?
いつ、日本に?
じゃなくて離れてくれないかい!」
女性を慌てて引き剥がしていた尚一郎だが、朋香の視線に気付いたのか、びくんと背中を震わせた。